フリーランス開業後の税金対策を知る
節税対策とは?
会社員の場合、企業が源泉徴収義務者として社員の所得税を控除・納付しますが、個人事業主の場合は自ら確定申告を行う必要があります。この際、『所得税をいくら払うか』は課税対象となる所得により決まります。
つまり、「課税所得をいかに低く抑えるか」が節税対策に繋がるわけです。
所得税は下記の計算式で計算されます。
お分かりのように、課税所得を低く抑えるポイントは次の2点になります。
- 1.経費を申請する
- 2.所得控除を最大限活用する
01経費申請する
a.とにかく領収書を集める
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まず大事なことは、仕事に使用した経費を漏れなく経費として計上することです。そのためには、必要経費として認められる範囲を把握し、日頃から必ず領収書をもらうようにしましょう。
とにかく領収書を集めること! これにつきます。
なお、保存義務は7年になりますので、きちんと保管管理することも重要です。 b.適切に「家事関連費」を計上する
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次に「家事関連費」を必要経費に計上することです。 自宅をオフィスにしている場合や車を仕事に利用している場合は、家賃、水道光熱費、通信費(電話料、インターネット通信料等)、車の費用(購入費、ガソリン代、駐車料金等)を、仕事に使用している割合に応じて経費にすることができます。
消耗品扱いにならない高額備品の購入金額は、10万、20万未満にして、 極力購入した事業年度、又は短期間で減価償却して経費に繰り入れるようにしましょう。
02所得控除を最大限活用する
人により経費の額には差が生じます。そこで、条件をクリアすれば誰でも受けられる各種所得控除をご紹介します。これらを適正に最大限活用し、節税対策をしましょう。
a.所得控除(配偶者控除、扶養控除)
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確定申告時に所得控除される項目は多数ありますが、控除の対象となる範囲を把握し申告しましょう。 申告するご自身の基礎控除(38万)だけではなく、配偶者、同居している親族や、別居の家族まで適用範囲になるケースがあります。
b.青色申告特別控除
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青色申告特別控除の最高額は65万円になります。65万分の控除は節税対策として効果的です。青色申告をするためには、 申請書の提出や複式簿記による経理帳簿の作成が必要となるため面倒だと思われる方も多いかも知れませんが、特別控除の他、家族に支払った給与を全額経費にできたり、 赤字となった場合、その損失を3年にわたって繰り越せたりといったメリットもあります。可能な限り、青色申告を活用しましょう。
c.専従者控除
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専従者控除とは、配偶者や親族に対して支払った給与額が控除されるというものです。例えば領収書の整理、書類作成、スケジュールの管理などを家族に依頼し、その報酬を給与として支払えば、控除が受けられることになります。
<白色申告の場合>
白色申告の場合、届け出は不要ですが、条件に応じて給与額に上限が設けられます。計算方法は簡単なので、国税庁のウェブサイトなどで確認してみてください。<青色申告の場合>
青色の場合は、控除ではなく経費扱いとなります。いくつか条件はありますが、給与額の上限がなく節税の自由度としては高いでしょう。一方で、配偶者控除が受けられなくなるデメリットもあります。どちらが有利なのかは、所得額や給与支給額の設定により変動しますので注意が必要です。
d.共済・保険
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<小規模企業共済>
小規模企業共済は、名称こそ「小規模企業」とありますが企業だけではなく個人も加入できます。個人事業主向けの退職金積み立て制度と捉えるとイメージしやすいかと思います。小規模企業共済の掛け金は、月あたり1000円から7万円の間で自由に設定ができ、その全額が控除対象になります。加入のハードルが低く、節税効果が高いので、個人事業主にとっては味方となる存在です。支払額の掛金払込証明書が11月頃に送られてくるので、確定申告時にはそれを添付しましょう。
<経営セーフティ共済>
経営セーフティ共済は、取引先の予期せぬ倒産による連鎖倒産から、中小企業や個人事業主を守る制度です。取引先の倒産により売掛金債権などの回収が困難となった際、共済金の貸し付け等の救済措置が受けられます。掛け金は月額5000円から20万円まで、総額で800万円まで積み立てることが可能です。個人事業主の場合は、掛け金の全額が必要経費扱いになるため、連鎖倒産対策というよりも、節税対策として賢く利用するケースが多いようです。40か月以上の積み立てがあれば、解約しても全額戻ってくるなどのメリットもありますので、少額から始めておくというのもよいでしょう。
e.国民年金基金、確定拠出年金(401K)
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<国民年金基金>
国民年金基金制度は、国民年金とセットで、自営業や個人事業主の老後の所得保障を担う公的年金です。国民年金基金の掛け金は社会保険料控除の対象になります。他の社会保険料控除と同様、11月ごろに控除証明書が送られてくるので、確定申告の際に添付しましょう。全額が控除対象となり、所得税や住民税が軽減されます。<確定拠出年金(401K)>
国民年金基金との併用が可能な年金制度です。
国民年金基金と同様に控除証明書が送られてくるので、添付した上で確定申告を行えば、全額が控除対象となり、所得税や住民税が減額されます。国民年金と確定拠出年金は、掛け金の運用の仕方や受給方法などで違いがありますので、人によりどちらを選択するか、どの様に組み合わせるかは異なってきます。いずれにしても掛け金の上限は、双方を合計して月6万8000円までとなりますので、節税に効果的といえるでしょう。
f.寄付関連 『ふるさと納税』
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ふるさと納税は、各地の地方自治体に対して税金を納めることを指します。納税とはいえ、実質的には寄付金の扱いとして所得控除の対象になります。各地方の名産品などを特典として受け取ることも可能で、ここ数年のトレンドになっています。
控除の限度額の目安は住民税の20%です。住民税を年額10万円納税している場合、ふるさと納税には2万円使えるのが目安です。一律自己負担として2000円引かれるため、控除額は1万8000円ということになります。
控除額としてみるとやや少額に思えるかもしれませんが、ふるさと納税は、納税先や税金の使い道を自分で自由に選択できる魅力があります。節税対策の一助として活用してみてはいかがでしょうか。