コラム

2020.05.13
人事コンサル 人事トレンド
更新日:2020.05.13
著者:H.C.
人事コンサル 人事トレンド
タレントマネジメントシステムの選定ポイント
タレントマネジメントシステム選定のポイント

この記事を読むと分かること
  • 従業員のスキルを最大限に活かし、戦略的な人材育成を行うタレントマネジメントに注目。
  • 人材データを一元管理し分析・可視化するタレントマネジメントシステムが求められている。
  • タレントマネジメントシステムの選定・導入にあたってのポイント
  •  ・導入目的を明確にし、経営層も含めた全社的な協力体制の構築が必要
     ・無理なく始めるスモールスタートで段階的にステップアップ
     ・自社の規模、目的、予算などを吟味し、無理のない選択を



タレントマネジメントシステムの選定ポイント

本コラムでは、経営からの注目の高い人事キーワードであるタレントマネジメントの推進のために、人材情報の一元管理・可視化等、多様な目的で活用される「タレントマネジメントシステム」の選定ポイントを考察したい。


01
タレントマネジメントが注目される理由

現在、人事・採用担当者間で注目を集めているキーワードのひとつが「タレントマネジメント」だ。タレントマネジメントとは、タレント(従業員)の持つスキルや能力を最大限活かすための、適材適所の人材配置や戦略的な人材育成を行う人事マネジメントのことを指す。

これまでの日本企業では終身雇用制度や年功序列など長期就労を前提とした雇用慣行があり、この制度・慣習下では人材をどう活かすかよりも、従業員自身がどう会社に合わせるかということのほうが重視される傾向にあった。しかし、日本企業を取り巻く環境はいま、「生産年齢人口の減少」「労働者の流動化」「働き方の多様化」「ビジネス環境のボーダレス・グローバル化」が進んでいる。

これらの変化を受け、優秀な人材を確保し、モチベーション管理やキャリアステップを提示しながら社員の満足度を高めるといった課題の解決策として「タレントマネジメント」が注目を集めている。


02
タレントマネジメントシステム導入の背景

変化が激しく予測困難な経済環境のなか、企業には斬新なアイデアとスピーディーかつ柔軟な対応力が求められる。それに対応する企業力を身につけるためには、従業員個人のパフォーマンスを最大化することが不可欠である。また、従業員のスキルを一元管理し可視化できるシステムの導入が必要とされる。

その必要十分条件を備えているのが「タレントマネジメントシステム」である。そこには「人材ビッグデータ」と呼ばれる膨大な従業員の情報が集約・蓄積される。蓄積されたデータは単に蓄積管理するだけでなく、分析・活用することで価値が生まれる。

その価値とは、「自社にマッチした人材採用」、「適材適所への配置」、「モチベーションの向上」、「次世代リーダーの育成」などが挙げられる。そうした価値の創出を支援するツールとして「タレントマネジメントシステム」がいま求められているのである。


03
タレントマネジメントシステム選定前の取り組み課題

タレントマネジメントは幅の広い概念で、関連する人事施策も多岐にわたる。各施策は個別に展開するものではなく、マネジメントの基本的な考え方に沿って統合的に取り組むことが望まれる。

タレントマネジメントシステムの導入・活用を検討する際に課題とされる事項を次に挙げる。



1.導入目的の明確化

タレントマネジメントシステムは導入すること自体が目的ではなく、あくまで「目的を達成するための手段」である。導入する際は、事前にタレントマネジメントを通じて何を実現したいのか、目的(ゴール)を定めることが重要だ。そのためにまず、導入プロジェクト担当者は、自社が抱える課題を整理し、導入目的を明確にする必要がある。
一般的な目的としては、人材の「採用」、「育成」、「配置」、「モチベーション管理」、「公正な評価」、「定着(流出防止)」の6点が挙げられる。



2.全社的な協力体制づくり

タレントマネジメントに必要な従業員の情報を集めるには、全社的な協力が必要になる。「何の目的で、どのような状態を目指して導入するのか」、「それにより、どのようなメリットが生まれるのか」など、タレントマネジメントの意義とシステム導入の目的を、導入前~導入後にかけて段階的な形で全部署、全従業員に周知することが必要だ。全社的な理解を得られれば、導入後のPDCAサイクルもスムーズに展開できる。



3.組織的な風土づくり

タレントマネジメントは、経営目標の達成に必要な人事戦略であり、単なる人材情報の管理ではない。つまり経営マネジメント層も、人事・採用担当者と同様にシステムを理解・活用することが望まれる。経営層が前向きな取組姿勢を見せることでタレントマネジメントシステム導入・推進の全社一体となった風土が形成される。



4.スモールスタートで段階的にステップアップ

タレントマネジメントシステムは多様な機能があり、目的によって使い方も変わる。また、システムは最初から完成されているわけではない。全機能を一気に稼働させようとしても消化不良で使いこなせない場合も多い。アイドリングの意味も込め、できるところから始めて、徐々にチューニングを加え、評価と改善を繰り返しながら最終ゴールに向かうことが定着のポイントと言える。


04
タレントマネジメントシステム選定のポイント

タレントマネジメントシステムは、個別の目的に必要な機能を満たすことはもちろんだが、自社の運用にマッチし使いこなせるのか、必要のない機能まで備わりコスト高になっていないか、各機能を緊密に連携させるなど融通が利くのか、といったさまざまなアングルで見極めることが重要なポイントとなる。
また、事業のグローバル化にともない、海外現地法人のローカルスタッフの把握も想定される。システムが多言語対応されているかも考慮する必要がある。しかし、残念ながら国産の既存システムでは多言語対応は見当たらない。外資系パッケージも視野に入れる必要がある。

最後のポイントは、「クラウド型・オンプレミス型どちらを採用するか」である。それぞれのメリット、デメリットがあるので、自社の規模、目的、予算などを吟味し、無理のない選択をしたい。
詳細はこれまでも以前のコラム(「人事給与システムの選定ポイント」「勤怠システムの選定ポイント」)にて繰り返し述べてきたので、ここでは双方の主なメリットだけを紹介する。

クラウド型メリット
  • 導入初期コスト・運用コストを抑えられる
  • 導入までのリードタイムが短い
  • インターネット環境下で、いつでもどこでも利用できる
オンプレミス型メリット
  • 自社の戦略に沿ったシステムをオリジナル設計できる
  • 自社の規模、予算、目的を考慮してシステムを構築できる

次に、国内で提供されているタレントマネジメントシステムの一例を紹介する。

〇「カオナビ」:株式会社カオナビ
https://www.kaonavi.jp/

利用企業数1500社以上(2019年9月時点)。企業規模、業種・業態を選ばず、幅広く利用されている。
システム上で、適性検査(SPI3)受検・パルスサーベイ実施や、Slack連携などができたりする点が特長。



〇「タレントパット」:株式会社プラスアルファ・コンサルティング
https://www.pa-consul.co.jp/TalentPalette/

人事に「マーケティング思考」を採り入れ、データに基づいた「科学的」人事を実現する。テキストマイニングによる各種分析等、人材データ分析機能に強みがある点が特長。



〇「HITO-Talent」:パーソル総合研究所
https://rc.persol-group.co.jp/hito-talent/

パッケージシステムだが、クライアントの要件によってカテゴリー・情報項目を柔軟に設定・変更が可能。シンプルで分かりやすいUI、パフォーマンスの良さ、きめ細かい権限制御が可能な点が特長。



〇「SuccessFactors」:SAP
https://www.successfactors.com/ja_jp/services.html

世界177か国、4,400社以上の導入実績。40言語のサポート対応。日本でも100社以上で利用されている、クラウド型システム。グローバルベースでの利用を想定する企業にとっては最有力となる製品。



〇「POSITIVE」:株式会社電通国際情報サービス
https://www.isid.co.jp/positive/

企業グループ展開が容易で、グループ各社の専門性と多様性を活かす統合的基幹人事システムの構築が可能。統合型パッケージのため人事給与システムと同居する形での導入・運用が可能。




05
まとめ

この記事のおさらい
  • 優秀な人材を確保し、モチベーション管理やキャリアステップを提示しながら社員の満足度を高めるといった課題の解決策として「タレントマネジメント」が注目を集めている。
  • 「自社にマッチした人材採用」、「適材適所への配置」、「モチベーションの向上」、「次世代リーダーの育成」といった価値の創出を支援するツールとして「タレントマネジメントシステム」がいま求められている。
  • 導入前にタレントマネジメントを通じて何を実現したいのか、目的(ゴール)を定めることが重要。プロジェクト担当者は、自社が抱える課題を整理し、導入目的を明確にする必要がある。
  • 自社の運用にマッチし使いこなせるのか、必要のない機能まで備わりコスト高になっていないか、各機能を緊密に連携させるなど融通が利くのか、といったさまざまなアングルで見極めることが重要なポイント。