コラム

2020.04.30
人事コンサル 人事トレンド
更新日:2020.04.30
著者:H.C.
人事コンサル 人事トレンド
勤怠システムの選定ポイント
勤怠システム

この記事を読むと分かること
  • 2020年4月より「働き方改革関連法」の中小企業への施行が本格化、「勤怠管理システム」の導入が急務。
  • 「勤怠管理システム」導入の決め手は、自社に合ったシステムを選ぶことに尽きる。
  • 導入前のトライアルを万全にすることで、導入後の不満・不整合を軽減することにつながる。
  • クラウド型とオンプレミス型、それぞれのメリット、デメリットを考慮して選択を。


勤怠システムの選定ポイント

「ダイバーシティ」「働き方改革」といったワードがヒトに関する経営課題として広く認識されるようになってきた昨今、これら経営課題に対応すべく勤怠管理のあり方が見直されてきている。
本コラムでは、多様な働き方に対応しつつも自社に適した勤怠システムを選択するポイントを考察する。


01
勤怠管理システムのトレンド

「ダイバーシティ」が、企業人事の1つのキーワードになって久しい。現在は、正規・非正規といった雇用形態だけでなく、時短勤務やテレワークなど「働き方」の多様化も進んでいる。企業は、そうした変化に対応して労働力を確保しなければならない。就業規則を改定し、勤怠管理のあり方を見直し、それに適応できる勤怠システムを選ぶべきである。

2020年4月から、時間外労働の上限規制が中小企業にも適用された。「時間外労働等改善助成金」等の働き方改革に関連した助成金を利用できる今が、システムリプレースの好機と言える。


02
システム選定にあたって留意すべき事項

企業の勤務スタイル、規模、運用コストなどは企業によりさまざまだ。ゆえに最も大切なのは自社の実情に合ったシステムを選ぶことに尽きる。自社に必要な機能が十分備わっているか、そして従業員にとって使いやすいか。
以下、選定で重要となるポイントを3つ挙げていく。

1.自社の規模や勤務スタイルに機能を合わせる

「勤怠管理システム」は製品ごとに従量課金制の仕組みや、職種・勤務体系の多様性によって適合するシステムが変わることに留意したい。従業員数の多少で自ずと処理データ量が違う。
また、勤務スタイルもシフト勤務など時間が不規則、出張・直行・直帰が多いなどさまざまなケースが想定される。打刻ひとつとっても細かい仕様の差が運用に大きく影響する。どんな設定が可能か細部まで確認したい。



【勤務スタイルに合っていない失敗例】
例えば、従業員の出退勤を記録する打刻は勤怠管理に欠かせない機能だが、複雑な勤務スタイルに対応していないとさまざまな弊害が生ずる。出張や直行・直帰に対応できないと正確な出退勤時刻が記録されず、データの正確性に疑問が生じる。また、打刻ばかりを重視させると、不正打刻する従業員も出て、業務パフォーマンスが低下する可能性も生じる。

2.予算ありきではなく、いま必要な機能を優先する

企業には今後数年間続く「法改正」や、「働き方」のさらなる変化への対応が求められる。ただし、そうした対応は「しなければならないこと(すぐに必要なこと)」と「したほうが良いこと(将来必要になること)」に分けて実現してゆくことが望ましい。優先的に今現在施行されている法改正に対応することは言うまでもないが、後の改正時にアップデートが可能か、その場合のコストはどうか、といったところまで確認しておきたい。
無料お試し期間を設けているベンダーもあり、「法改正」に適合しているか、インターフェイスは使いやすいか、従業員が迷うことなく使いこなせるか、といったことを十分に確認し、総合的に判断することが大切だ。



【予算を優先して必要な機能を実装していなかった失敗例】
夜勤シフト管理、裁量労働制、直行・直帰など時間計算業務は会社によってさまざまなパターンがあり煩雑を極める。その管理が肝のはずなのに複数パターンの応用が利かないケース。クラウド型にありがちな例として挙げられる。例えば、複数支店を持つ会社は、支店ごとに裁量が異なり、それぞれに合わせた管理が求められたのだが、複数対応はすべてオプションとなってしまったケースだ。



【導入検討時に詳細なトライアルを怠った失敗例】
事前トライアル未実施企業の社員からは、「操作に手間がかかる」など、機能や操作感に対する不満が出るケースが多い。

一方、トライアルを実際に活用した企業でも実施方法が十分でないと導入後の不満につながる。ひとつの部署の数人でトライアルしただけのケースだ。部署によって就業形態や勤怠の打刻方法が異なる場合もある。少なくとも各部署から数人ずつでも集めてトライアルし意見収集することが望ましい。

3.給与計算や会計といった他システムとの連携ができること

勤怠データをCSVファイルとしてダウンロードして給与計算システムに取り込む方法と、API連携により直接取り込む方法がある。後者の方が便利だが、利用できる組合せが限られるため、運用中の給与計算ソフトで使用できるかを確認しておくとよい。また、ダウンロードの際、ファイルのフォーマットが決まっているのか、必要な項目をカスタマイズできるのかも確認したい。


03
勤怠管理システムの特性

勤怠管理システムには主に2つの形態がある。オンプレミス型とクラウド型だ。最近はクラウド型が主流となっているが、自社の規模や勤務スタイルと機能の適合、運用コストなどを精査し、自社に合った形態を選定してほしい。

1.クラウド型

クラウド型システムは提供するベンダーが保有するサーバー上に設置されている。ゆえに導入企業は、自社でシステムを開発・保有する必要がない。クラウド型の最大のメリットは、低コストですぐに導入できることだ。低コストの理由はユーザー人数に応じた従量課金制を採用していることにある。従業員が1000人未満の企業やこれまで勤怠管理システムを利用していなかった企業にお勧めする。

メリット
  • 初期コストと運用コストを抑えられる
  • システム導入までのリードタイムが短い
  • インターネット環境下で、いつでもどこでもシステムを利用できる
  • システムの運用業務は、サービス提供会社がやってくれる
デメリット
  • 汎用性が求められるため、導入する企業の状況・形態に合わせたカスタマイズが難しい
  • 情報を外部に持ち出すため、セキュリティ対策が必要となる
<主なクラウド型製品>

〇株式会社Donuts:「ジョブカン」
https://jobcan.ne.jp/

変形労働制・フレックス制・裁量労働制などさまざまな勤務形態に加え、所属や雇用形態別で管理できる。シフト・有給・工数・残業などと組み合わせて使うことも可能。

〇株式会社ネオキャリア:「jinjer(ジンジャー)」
https://hcm-jinjer.com/

バラバラだった人事データを一つのプラットフォームに集約管理することで、業務効率を大幅に改善できる。スマホアプリがあり、打刻しやすいのが支持されている。

〇アマノ株式会社:「クラウド型勤怠管理システム Timepro-VGCloud 」
https://www.amano.co.jp/products/time.html

勤務実績や休暇取得状況、時間外労働の状況を画面表示する。また勤務者と管理者にアラートを表示し、時間外労働の抑制など意識改革を促進できる。

2.オンプレミス型

オンプレミス型システムは、利用する企業が独自のシステムを自社のサーバーに設置する。ゆえに企業は自社のネットワーク環境下での運用・保守が可能である。メリットは自社の勤務形態などに合わせて自由にカスタマイズできることにある。複雑な勤務形態を持つ企業や、従業員1000人以上で専門性の高いシステム開発・管理人材を擁している企業にお勧めする。

メリット
  • 自社の就業形態(雇用形態、勤務形態)に沿ったシステムを設計できる
  • 自社のスケール(企業規模、予算規模)を考慮してシステムを構築できる
デメリット
  • システムの開発コスト、運用コストがかかる
  • システム導入に時間がかかる
<主なオンプレミス型製品>

〇アマノ株式会社:「就業パッケージシステム TimePro-XG就業」
https://www.tis.amano.co.jp/product/employment/integrated/

労務時間を適正に把握し、出退勤の打刻の収集から修正、集計までの業務効率を大幅に省力化できる。勤怠データの可視化により、労務コンプライアンス強化と生産性向上を支援する。


04
まとめ

この記事のおさらい
  • 「働き方改革関連法」の中小企業への施行がカウントダウンとなったいま、「勤怠管理システム」の導入が急務となる。
  • 「勤怠管理システム」導入の決め手は、自社の規模、勤務形態に合ったシステムを選ぶことに尽きる。
  • 導入前のトライアルを万全にすることで、導入後の不満・不整合を軽減することができる。トライアルは複数部署から平均して人を出して行うことが大切。
  • クラウド型とオンプレミス型、それぞれにメリット、デメリットがある。自社の勤務形態や効率化したいことに沿って、費用対効果を考慮した選択が重要。