コラム

2023/02/06
人事コンサル 人事システム 勤怠システム 給与システム
更新日:2023.02.06
著者:T.O
人事コンサル 人事システム 勤怠システム 給与システム
人事給与システム導入におけるテストとは
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■「人事給与システム」「勤怠システム」(就業管理システム)のリプレースを行う場合の各フェーズで実施すべきテストについて見ていきす。従業員規模・プロジェクト規模によりテストスコープは様々で、以下のテストを割愛するプロジェクトもあると思いますが、必要なテストは何なのか?そのテストはどのような目的で実施するのかを見ていきたいと思います。なお本コラムでは業務アプリに特化し、データ移行やインフラ系のテストは割愛しています。

■ 従業員規模500名程度の小規模会社の場合、制度・システムも簡易的な箇所が多いため以下テストはマッチしないところも多く、また、「タレントマネジメントシステム」(タレマネシステム)のみの導入においてもやりすぎ感のあるテストとなるので、こちらはプロジェクトの特性に応じて考えて頂ければと思います。


01「人事給与・勤怠システム」(就業管理システム)の導入時に行われるテストとは

 財務会計や販売管理のERP導入でも同様ですが、プロジェクトのフェーズで実施テストは異なっていきます。SAP-HCM(SuccessFactors)やCOMPANY・POSITIVEなど人事ERP導入では標準設定・追加開発や、また他システム開発が行われるため、フェーズごとにどのテストを実施するかを見定め、適切なタイミングでテストを実施する必要があります。

 
  
 単体テスト (設計・開発フェーズ)
       

✓ プログラミング開発を行う追加開発物等に対して単体ベースでの品質保証を行うテスト

       

✓ 後続テストでは、機能連携テストとなるため、それ以前に単体保証を行うテストとなる


 
  
 結合テスト (テスト・移行フェーズ)
       

✓ 新業務フローに即した、PKG内/システム内に閉じた形での、全機能単体・機能間連携やデータフローが正しく動作し、一連の業務(年間業務)が問題無く行えることを検証するテスト

       

✓ 後続テストでは、別システムとの機能間連携や移行データを使用した実データ検証となるため、システム内に閉じテストを完結させるテストとなる

       

✓ 夜間ジョブ等:未実施、権限:All権限、データ:テストデータ での実施


 
  
 総合テスト (テスト・移行フェーズ)
       

✓ 新業務フローに即した、実データ(移行データ)を使用し、業務上の権限を割り振った形でJOB実行等を行い、機能間連携・他システム間連携・外部機関連携やデータフローが正しく動作し、一連の業務(年間業務)が問題無く行えることを検証するテスト

       

✓ 後続テストではユーザ(クライアント)側に引渡してのテストとなる為、ベンダ側(システム構築ベンダ側)の最終的な業務品質テストとなるため、本番運用に即した環境で実施するテスト

       

✓ 夜間ジョブ等:あり、権限:あり、データ:移行データ、I/F:他システム連携含む での実施


 
  
 性能評価テスト (テスト・移行フェーズ)
       

✓ 新システムで求められる性能(パフォーマンス)を実データボリューム・実権限を用いての実機性能テスト

       

✓ 総合テストの一環で行われ、パフォーマンス評価が求めれる機能を選定し、本番運用と同負荷状態で対象機能のパフォーマンス測定を行うテスト

       

✓ 対象となる機能は、処理件数が多い・業務上一時的に集中しやすいものを選定し、給与計算、勤怠入力、勤怠承認、身上申請、給与明細、評価入力が多い


 
  
 突合テスト (テスト・移行フェーズ)
       

✓ 給与システムや勤怠システム導入時に行われるテストであり、人事システムのみの導入で行わることは原則無い

       

✓ 全従業員の実データ使用して現新システムで給与計算処理を行い、計算結果を人別・項目別(支給控除全項目・集計項目)に全件比較検証を行うテスト

       

✓ また、日割り・遡及計算結果においても、計算結果が一致していることを確認する

 
  
     
 ユーザ受入テスト (テスト・移行フェーズ)
       

✓ 最終オペレーションテストとして、新業務フローに即し、実データ(移行データ)を使用し、業務上の権限を割り振った形でJOB実行等を行い、機能間連携・他システム間連携やデータフローが正しく動作し、イレギュラーパターンを含む、一連の業務(年間業務)が問題無く行えることを検証するテスト

       

✓ 本テストで稼働判断を求められことが多く、クライアント(ユーザ)としてジャッジすることになる為、現行オペレーション担当者を巻き込んだテストとなる

       

✓ 本テスト実施で、新システムでの業務習熟を行う事が多い

       

✓ 夜間ジョブ等:あり、権限:あり、データ:移行データ、I/F:他システム連携含む での実施


 
  
 並行稼働テスト (テスト・移行フェーズ)
       

✓ 本テストは、プロジェクトにより実施可否が大きく分かれる。並行稼働テストは、現新への2重インプットが必要になり、人事部様は業務上2倍のパワーが必要となることから、プロジェクトの性質・これ以前のテスト品質により判断を行うべきである

       

✓ 作業内容としては、現行システムと新システムで同時並行で本番運用を行う

 
       

✓ 並行稼働時は、あくまで現行システムを「正」として新システムで同様の本番業務を行い品質確認を行う

 



02
まとめ

この記事の結論
  • ここまで見てきたように、人事給与システム導入で特殊なテストは、突合テストのみと感じています。しかし突合テストは従業員への給与支払いを正確に行う人事ミッションからすると、必達で守るべきとなるため、このテストの品質で稼働できるかの判断がされることになります。
  • また、人事は年間業務サイクルで動いている業務ですので、業務フローに即した形での「結合テスト」「総合テスト」「ユーザ受入テスト」が業務品質担保を行う上で、必達となるため、ベンダ・クライアントならびに実務担当を巻き込んでのテストで、新システム稼働までに品質向上を行って頂ければと思います。