コラム

2022/12/13
人事コンサル 人事システム 勤怠システム 移行 給与システム
更新日:2022.12.13
著者:T.O
人事コンサル 人事システム 勤怠システム 移行 給与システム
(人事給与システム)データ移行を考える Part1
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人事給与システムへのデータ移行 Part1

■ 人事給与システムの経験値が低い人は、決まってデータ移行を容易に考える傾向があります。このデータ移行の難解さ・大変さを予め理解しておき、前もったスケジュール化・要員計画を行うことで、プロジェクトリスクを軽減できることがあります。

■ 新人事システムへのデータ移行で、クライアント側は現行システムで保持している全件・全量データを持ち込みたいとの要望が多いですが、現実的な工数感(マンパワー)・必要性を考慮したうえで、最小限のパワーで最大限の効果を生むデータを選定したデータ移行が求められます。


01人事給与システムのデータ移行の難しさ

ここでの難しさは、クライアント・ベンダ間の利害関係ではなく、純粋に作業的な難易度がなぜ高いのかを考えます。


 データ構造・データ群の差による複雑性
     

⇒現新の人事システムでは保持するデータ群が異なっております。1例とし、従業員の資格・等級・職群など企業で定義する従業員身分情報があった際に、現行では一つのデータ群(テーブル)で管理されるが、新では複数データ群(別テーブル)で管理されるなどデータ保持方法が異なるため、データ保持方法を考える必要があります。また従業員身分的なものは、入社からの永続的管理が必要となるため、その履歴も正しく保持する必要があるため、期間from-toの開始日を複数データから導く必要がありその作成も困難な一つと言えます。


 履歴データの複雑性
     

⇒履歴データは、現新とも同じデータ群(テーブル)なら同じ履歴で管理すれば良いですが、現実的には、新システムの標準保持方法に則る必要があり、開始日・終了日の管理が複雑化します。また組織データと所属データは密接に絡み合い、新システムで組織・所属を過去歴から参照したいとなる場合、不可能なほどのマンパワーと調査が必要になってしまうため、テキストデータで移行することも検討する必要があります。


 制度改正・暫定措置を含むデータによる複雑性
     

⇒人事制度や等級制度は、数年に一度切替わるのが常となりますが、そのデータを正しく持ち込みたいとなると、今は存在しない等級コードや評価結果コードなどすべてを移行する必要が生じます。その際には、過去の身分体系としての整理が必要になり、過去のみ必要となるコードマスタの移行が必要となるなど、この点も考慮する必要があります。


 新システム要望による複雑性
     

⇒新人事システムへリプレースする際には、これまで管理して無かったデータを管理すること、タレマネシステムへ連携し管理するデータなどが発生したりもします。これまで保持して無かったデータは、従業員から収集するか・人事の手持ち保管データから作成する必要が生じます。新しく管理するデータと既存データとを同一テーブルで管理する際には、統合処理が必要になりこの対応も複雑化する要素の一つです。1例として、異動希望歴を管理していた場合にそこにリスキリング対外受講結果などを管理する場合、異動希望歴は現行システムからデータ抽出を行い、リスキリング受講結果は従業員から収集することを行い、各々を統合(一つの歴)としてデータ作成を行う必要が生じたりもします。


   

 このように、必要となるデータ群・データに対して、まずは方針を明確化しないと、いざ抽出ツール・変換ツール・投入ツール作成・投入後確認を行う際に、何が正しい姿がわからず後手後手となる為、方針明確化が重要となります。