コラム

2022/11/28
人事コンサル 人事システム 勤怠システム 移行 給与システム
更新日:2022.11.28
著者:T.O
人事コンサル 人事システム 勤怠システム 移行 給与システム
人事給与システムへの移行を考える
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移行トラブルはなぜ起こる?

①「人事給与システム」ならびに「勤怠システム」のリプレースを行う場合、プロジェクト規模・従業員規模に関わらずベンダ様・クライアント様間で一番揉める箇所は、移行と感じています。では、なぜ移行が揉めやすいのか、なぜそうなるのかを見ていきたいと思います。

②人事給与システム導入にあたりクライアント様は、人給パッケージベンダ・勤怠パッケージベンダへ導入依頼を行い、システム構築を行うことになります。しかし、全ての移行作業をベンダ様が行う事は出来ず、多くの場面でクライアント様が行う必要があるなど、認識齟齬が生じやすいのが移行となります。


01人事給与システムへの、3つの移行について

人事給与システムに関わらず、あらゆるシステムのリプレースでは、以下3つの移行を行う必要があります。   

 データ移行:現行データを新システムへデータを移す作業
 システム移行:新システム切り替えにあたり、システムリンク切替・インターフェース切替などを行う作業
 業務移行:新システムで業務を行うために、操作マニュアル・業務マニュアル等を作成する作業
   

そのうえで、上記3つの移行のデータ移行については、「個人情報保護の観点」「作業負荷の観点」「現行システム把握の観点」から、RFPで如何に定義しても、多くの作業がクライアント作業となる傾向があります。
   


02データ移行

なにより揉めるのが、この領域との認識です。その理由は以下に挙げます。


前提として、人事給与システム、勤怠システムと言っても、大きく以下のデータがあります。

    従業員データ

    組織データ

    給与計算結果データ・勤怠結果データ

    顔写真・履歴書等のPDF等のデータ


◆人事給与システムの従業員データは、会計・物流システムと比べても複雑化しております。
特に組織歴・所属歴は、密接に結びつくと共にシステムにより保持方法が全く異なるため、現行システム・新システムのデータ構造を意識し、歴データを作成する必要があります。このマッピング対応・コード変換作業・歴作成対応が非常に複雑化する傾向があり、多くの工数かかかる作業となります。

◆データ移行は、現行システム・新システムの双方の理解が必要となるため、ベンダ様は作業ボリューム工数が読み切れず、大幅な作業となるリスクヘッジもあり、一般的に受諾しない形となり、クライアント作業となる傾向が多いことになります。

◆そのためにも、データ移行作業タスクの「項目・コードマッピング」「現行システムデータ抽出」「新システムへの項目・コード変換作業」「新システムへの取り込みファイル作成」「新システム投入」「投入後確認」などの作業タスクの担当者を明確化することで、後々のトラブルを少しでも防ぐようにすべきです。

◆また、人事給与業務として、「法定保管義務帳票」を明確化し、その対応をどうすべきかも検討する必要がありますが、本タスクは「データ移行」「業務移行」タスクかが不透明であるため、このような作業はクライアントとして検討すべき必要があると感じます。


03システム移行

◆システム移行は、現行システムから新システムへの「切替」における作業となるため、責任分界点が明確な為、「ベンダ様」「クライアント様」の作業では、あまり揉める要素が無い作業のように感じます。

◆システム移行で検討すべき作業と言うのは、人事システムだから特別な作業と言うこともない理由も上げれると思います。


03業務移行

◆業務移行は、大半のシステム導入プロジェクトにおいて、クライアントタスクとなる項目のため、あまり揉める要素の無い作業となります。

◆そのためにも、クライアント様側で、稼働に向けて何を行うかを明確化し、その作業タスクのスケジュール化をする必要があります。

◆業務移行で検討すべき作業のゴールは、「業務習熟」がメイントピックとなりますが、人事業務としての過渡期対応として、人事給与勤怠業務をいつから新、いつまで旧で行うのかを明確化しておく必要もあります。特に社会保険の月変処理は、新システムで初月から行う事が厳しいケースもあるため、稼働前に明確化しておくなど、業務ごとの作業整理が必要と考えております。