コラム

2020.10.08
キャリア 人事コンサル 働き方
更新日:2020.10.08
著者:H.C.
キャリア 人事コンサル 働き方
人事コンサルタントのキャリアパス
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人事コンサルタントのキャリアパス

コンサルティング業界は、この10年間、市場規模を順調に拡大し続け、着実な成長を遂げてきており、近年はすでに成熟期に入ったともいわれ、コンサルタントが関わる「人事」や「組織」領域のコンサルティングに関しても同様だ。

そのなかにあって、企業側の立場で、人事戦略や採用したい人の理想像をクライアントと一緒に考えていく人事コンサルタントは、「もっと優秀な人材を育てたい」「評価制度をもっと効果的にしたい」など、さまざまなクライアントの課題に対してコンサルタントとして具体的な助言をし、漠然とした課題であっても明確な解決へと導いていくことができる人材である。

人事コンサルタントは、その経験と能力の高さから、転職市場では非常に高く評価されており、さまざまなキャリアステップが用意されている。
ここでは、人事コンサルタントにおいて考えられるキャリアパスについて、それぞれに詳しく紹介する。


01
人事コンサルタントからの3つのキャリアパス

人事コンサルタントからの代表的なキャリアパスとしては大きく3つの路線が考えられるのではないだろうか。

人事コンサルタントの代表的なキャリアパス
  • コンサルタントとしてキャリアアップ
  • 事業会社への転職
  • 独立・起業

コンサルタントしてのキャリアアップについては、コンサルタントとして成長を続けていく延長線上のキャリアとして、まずは第一に考えられるキャリアパスであろう。
コンサルタントは、あくまでも「相談役」「アドバイザリー」役に過ぎず、最終的にクライアントの社内を動かし、ひいては、クライアントビジネスを動かしていくのは、あくまでもクライアントサイドであるといった点にジレンマを感じ事業会社に身を投じる・転身するというキャリアパスも考えられる。

あるいは、コンサルタントとしての今後のキャリアを考える際、Up or Outの世界観のコンサルティングファーム内において、厳しい競争に勝ち残るために身を粉にして働き続けていくことに現実感が持てずにいたり、コンサルタントとして働き続けてはいたいものの、コンサルティングファームの中で従業員の立場のまま、会社方針に沿って働き続けることへの疑問、自身の可能性へ挑戦したいといった意欲を持ち、独立・起業を志すといったキャリアパスも考えられるであろう。

以降の章では、それぞれのキャリアパスについて、詳しくみていきたい。




02
コンサルタントとしてキャリアアップ

コンサルティングファームは多種多様にあるため希望の転職先が探しやすい、報酬も同水準なため収入ダウンのリスクが少ないといったメリットがある。
まず考えられることは、採用、教育研修、人事制度など分野を特化して専門性を高めていくことだ。

また、コンサルタントとしてのコアスキルが備わっているため、別領域のコンサルタントに転身することは比較的容易だ。
例えば、立場を変えてバイアウトファンドやベンチャーキャピタル、投資銀行のような投資側など、さまざまな領域が考えられる。

どの場合も即戦力とみられる傾向があるが、例えば語学やMBAなど自分に足りないスキルを高め、目的と一貫性を持って複数の企業を経験することで、キャリアの希少性を高め続けていくことができる。


03
事業会社への転職

事業会社への転職パターンとしては、大きく分けると、3つ考えられる。



1.大手事業会社の人事/経営企画部門への転身

これまでに経験したクライアントの業界と規模によって、類似した企業からの引き合いが多くなる傾向がある。
例えばグローバル企業、IT関連企業、金融などそれぞれの業界に特化していることで、同じ業界の大手事業会社に転職し、活躍するケースだ。

この場合でも、採用、組織構築、人事制度、教育制度など、自分の得意分野を見極めてスキルを磨き、キャリアを深掘りしていくことが、自身の希少性を高めることになる。
こうした努力を続けながら、業界の守備範囲を広げていくことで、さらに多くの大手事業会社への転職の可能性を広げることができる。



2.中小企業やスタートアップなどへの経営陣・CHOとしての参画

事業規模を中小企業やスタートアップなどに絞って、経営トップとして参画するケースもある。また人事だけでなく、例えば企画力に自信があれば、中小事業会社の経営トップ直下の企画系部門(経営企画や事業企画)、会計領域の知識が豊富なら、それを生かして財務経理部門トップ(CFOなど)への転職なども可能だ。

ただし、経営陣・CHOなどへの転身を目指す場合、人事戦略に精通しているだけでは十分なスキルとはいえない。
もう一段上の、経営戦略や事業戦略といったところまで視点をあげて、それらをどう事業計画に落とし込んでいくのかという、経営者目線にまで見識・知見を拡げておくことが重要だ。



3.投資先の経営陣・CHOとしての参画

企業の変革期や成長期といった重要な局面において、ターンアラウンドマネージャーの役割を求められるケースもある。

ファンドやVCから、投資先の事業会社にターンアラウンドマネージャーとして招聘された場合など、社内の変革推進担当として大きな変革を自ら推進できるというやりがいがある。
なかには世界展開する大企業の意思決定に携われるケースもあるなど、スケールの大きな仕事ができることも魅力だ。




04
独立・起業

続いて、独立・起業におけるメリットや課題を紹介しよう。



1.自分の裁量で自由に仕事をすることが可能。

自身で独立・起業すれば、仕事の裁量はすべて自分で自由に決めることができる。
例えば、得意な語学力を活かして「グローバル人事マネジメントのナンバーワン」など、自身の“アドバンテージ”部分だけを抜き出してその分野の専門家になったり、豊富な人的ネットワークを活かして営業活動と案件を同じ業界の仲間とシェアすることで安定した経営を目指すなど、自身の責任において自由裁量で仕事をすることができる。

課題は、一般的に独立・起業後は社会的な信用を得ることが難しい点だ。
企業を相手にした新規顧客の開拓や、ローンの借り入れといった場面で不利に働くことが少なくないのが実状である。

また、オフィスを借りるにも審査のハードルが高くなり、社会保障面でも会社員に対する保障と比べると格段に薄くなってしまう。
独立・起業を考えるならこの点は十分に調査、検討して対策を用意しておきたい。



2.以前よりも高年収を得る可能性がある。

独立すると収入がアップするという話は多い。
しかし結論からいえば、必ず高年収を実現できるとは限らない。
現在、高年収を得ているコンサルタントでも、1年目から高年収であったかといえばそうとは限らず、何年も苦労してようやく収入が安定するようになったということもあるのだ。

課題は、自ら仕事を獲得しなければならず、案件がなければ収入はゼロだ。
どんなに高いスキルがあったとしても、それが発揮できるのは仕事を獲得してからだ。案件を獲得することと、その案件を十分なクオリティをもって遂行することの両輪が不可欠だ。
年収を今よりもアップさせてようと考えるなら、独立・起業をする前に3つのポイントを抑える必要がある。



独立・起業に向けた3つのポイント
  • 自分の得意分野を磨く
    独立するコンサルタントが増加している現状では、それだけ“競合”が増えているということでもある。専門性をもった自身の強みを磨き、これをアピールすることが非常に重要だ。
    また、報酬相場は分野によって異なるので、その点も十分研究しておきたい。


  • 複数のクライアントとバランスよく付き合う
    大口のクライアントを獲得していたとしても、その会社が経営困難に陥ったり、倒産してしまうことは起こり得ることだ。
    こうしたリスクを減らすためには、特定のクライアントに依存せず、複数のクライアントとバランスよくつながりを保つことが重要となる。


  • できるだけ多くの顧客獲得方法を持つ
    人脈での紹介やWebサイト、SNSの活用などが考えられるが、こうした活動を行っていても、クライアントの数を増やすには限界がある。
    並行して利用したいのが、案件のマッチングや紹介サービスを行っているエージェントサービスやコンサル案件に特化したクラウドソーシングサービスだ。
    特にエージェントサービスでは、人事コンサルタント案件が豊富なサービスもある。


3.ワークライフバランスの改善

テレワークの活用など働く環境や仕事時間を自分なりにメリハリがつけることができる。
ただし、最近は多彩な人事制度を取り入れる企業も増えてきており、コンサルティングファームであってもワークライフバランスを意識した動きがあるのも事実。

そのため、独立・起業しなくても柔軟な働き方を可能にできることもあるのでしっかりと情報収集しておくことが重要だ。


05
その他の可能性

上記3つ以外にも、さまざまな転職先が考えられる。
例えば、

・ヘッドハンター、人材エージェント系
より個人のキャリアにフォーカスしたいという思いから、ヘッドハンティング会社や人材エージェント系に転身するケース。

・ビジネススクール等の教授・講師
今までの自分の知識を体系化したり、より深く研究したいという思いや、学校側の誘いなどから研究者、先生に転身するケース。




ここまで見てきたように、人事コンサルタントとして考えうるキャリアパスには、多種多様な拡がりがあると考えてよいだろう。ただ、いずれの場合であっても、人事コンサルタントとしての経験・スキルをしっかり積み上げていくことは最低ラインであり、それだけでは明るいキャリアは見えてこないだろう。最低ラインをクリアしたうえで、自身の人生観・キャリア観と向き合い、自身のキャリアを切り拓いていく積極的な姿勢・アクションが伴って、はじめて明るい未来が見えてくるのではないだろうか。


06
まとめ

この記事のおさらい
  • 人事コンサルタントは、その経験と能力の高さから、転職市場では非常に高く評価されており、さまざまなキャリアステップが用意されている。
  • 人事コンサルタントからのキャリアパスとしては大きく3つ。
    ①コンサルタントとしてキャリアアップ
    ②事業会社への転職
    ③独立・起業
  • その他のキャリアパスには、ヘッドハンター/人材エージェント系への転職、ビジネススクール等の教授・講師への転身がある。