コラム

2020.10.01
人事コンサル 人事トレンド 自己研鑽
更新日:2020.10.01
著者:H.C.
人事コンサル 人事トレンド 自己研鑽
RPA活用による人事業務の効率化
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RPA活用による人事業務の効率化

近年、業務効率化の手段としてRPAを導入する企業が増えている。しかし、RPAを導入してみたものの思うような効果(業務効率化)を実現できていないといった話しをよく耳にする。

本コラムでは、RPA導入における失敗しやすい7つポイントをご紹介するのとともに、RPA の効果がでやすい人事業務についてご紹介したい。また、最後には、人事担当者である業務ユーザがスモールスタートでRPAを導入するといった試みが可能なのかについて、考察してみたい。


01
RPAとは

RPAとはRobotic Process Automationの略語で、ホワイトカラーのデスクワーク(主に定型作業)を、パソコンの中にあるソフトウェア型のロボットが代行・自動化するという概念だ。

RPAが注目されるようになったのは、生産労働人口の減少という労働環境の変化と働き方改革が背景にある。人手不足を補いながら生産効率を上げることができるため、働き方改革を一気に加速させる解決策として期待され、注目を集めている。


02
RPA導入フェーズ別 失敗しやすい7つのポイント

RPAを導入したはいいが、稼働させてみたら逆に工数が増えてしまったなどということになれば本末転倒だ。
ここでは、失敗しやすいポイントを導入フェーズごとに確認し、より効果のでる方法を検討したい。



<導入前>

①例外処理・個別処理を見落とす

業務プロセスを可視化し、自動化する業務を検討する際に、見落としやすいのが例外処理や個別処理だ。見落としたまま導入を進めてしまうと、のちの設計・設定などで手戻りが発生するなど負担が増大することになる。

ロボットに記憶させる操作手順やルール・実行スケジュールなどは、業務ごとに詳細な業務マニュアルに基づいて作成されるため、事前に文書化しておくとよい。
例えば後段で紹介するUiPathのExplorer EXPERTなどのツールを使えば、通常の手作業の業務を全て記録し、IT部門が開発時に必要な手順書とワークフローを自動的に出力してくれるので、こうしたツールを活用することも有効だ。



②業務ユーザの声に耳を傾けすぎる

どの業務を自動化するかについて、業務ユーザの声を優先し過ぎると、本当に自動化すべき業務が見落とされて、思うような効果が得られないことがある。
検討した結果、効果の高そうな自動化ポイントが見つかったときに、現行の業務と差異がある場合は現行の業務に固執せず、必要に応じて現行の制度やルールを見直し、業務プロセスの方を変更することもあってよい。



③システム連携先の調査不足

RPAツールと連携する社内外のシステムの稼働状況をしっかり調査せずに導入すると、問題が起こることが多い。
そうならないためには、情報システム部門などの担当部署・担当者と連携することに尽きる。

また、自社でRPAに詳しい担当者を育成することで、プロジェクトの中核となってもらうというアプローチも重要だ。外部のベンダーなどに導入を外注する場合でも、中核となるメンバーがRPAに詳しければ成功確率は大きく上昇する。



<導入中>

④いきなり会社全体で導入

他企業の成功事例をそのまま自社にあてはめ、いきなり会社全体で導入して失敗するケースも多い。
こうした事態を避けるためには、切り分けができる業務を選んでスモールスタートさせ、PDCAを回すことが手堅い方法だ。

試験運用の効果を評価した後に、本格導入に向けて適用業務やフローを見直したり、他部署への展開にフィードバックさせたりしながら全社での導入に向かってステップアップしていくことでリスクを回避することができる。



⑤業務ユーザがどんな業務に時間を割いているのかを把握していない

全体の業務効率化が目標なのに、現場の業務ユーザがどの業務に時間を割いているのか把握ないまま導入し、業務の自動化はできたけれど結局どの程度効率化されたのか数値で表せないという失敗もある。

プロジェクトを始める前に計画的に定量効果を測定しておくことが最大の対策となる。具体的な数値目標を設定しておく、もしくは定量化できない場合は数値として成果が表せるような方法を考えておく必要があるのだ。



<本格導入後>

⑥管理者を決めず、野良ロボットが発生

RPAの運用/保守を見据えた体制や計画を十分に練らずに導入した結果、管理されず予測しない行動を行う野良ロボットが発生し、業務全体をストップさせてしまうという失敗も多い。これはRPA導入の失敗というより、そもそも体制構築が不十分だったといえる。

これを回避するには、あらかじめロボットを作成、破棄する担当などを決めておくことが重要だ。また、トラブルが発生した際に的確な対応ができるIT部門の担当者も設置しておくべきだろう。



⑦定期的なメンテナンスをしない

RPAを導入する際には業務整理や業務フローの再構築が必須だが、導入後も、業務や社内ルールの変化にともなって人による定期的なメンテナンスが必要となる。これを行わないとRPAと実際の業務が乖離を起こし、導入前に想定していなかったコストや余計な稼働が増加して失敗してしまう。
これを防ぐにはある程度メンテナンスのタイミングを設定しておくことが対策となる。例えば業務の変更時や組織編成時、四半期に一度、など。その上で随時業務ルールの再設計を行っていくことが有効だ。

こうして必要に応じて制度・ルールやプロセスを見直すことで効果を最大化していくことがRPAを効率よく運用するためには望ましい。そして対象業務の見直しが難しい場合は、思い切って自動化の対象から除外することも選択肢の一つだ。


03
RPAの効果が出やすい人事業務

RPAは全ての業務を自動化できるわけではない。適した業務は以下の3種類だ。

1.ルール化しやすい業務
2.繰り返しの多い業務
3.パソコンのみで完了する業務



<人事分野におけるRPAで効果が期待できる業務>

人事分野におけるRPAで効果が期待できる業務例を示す。

RPA効果が期待できる業務例
  • 【採用管理】採用管理システムへのデータ登録を自動化
    RPAにより日次で各Web求人サイトから応募者データをダウンロード。採用管理システムに合わせてフォーマットを変更し、採用管理システムに取り込むことができる。

  • 【勤怠管理】法定休日出勤手当の支給申請に関するチェックを自動化
    法定休日出勤時に事前に勤怠システムから申請が必要な場合、RPAはExcelの支給申請情報をもとに勤怠システムで事前申請の確認と当日の勤怠情報と支給申請が一致しているかを確認することができる。

  • 【給与計算】給与明細の印刷とメール作成を自動化
    RPAは給与明細書の印刷や、本人にメールで給与明細を送付することができる。

  • 【人事データ管理】複数システムへの人事データ登録作業を自動化
    確定した人事発令や家族・住所等の身上変更などに基づいて、変更される人事データについて、人事システム、給与計算システム等々の複数システムを管理している企業では、発令内容・身上変更内容に応じて、データ更新の必要となるシステムを判断して登録を行う必要があるが、RPAにより発令内容・身上変更内容のパターンに応じて決定される更新項目に対する更新を自動化することができる。

いかがだろうか。当たり前といえば当たり前の内容ではあるが、参考にして頂ければ幸いである。
続いて、上記とは逆のケース「人事業務のなかでもRPA化しにくいケース」を簡単にご紹介する。

給料は職種や職格によりある程度一律であることが公正だが、実はそうではないケースも多い。M&Aによる合併後も、合併前の給与体系を維持している場合など。
こうした場合、自動化の効果が高いと認められるならば、個別待遇はこの機会に廃止して、一律で公正な給与体系を作ることが最適な解決策となる。

しかし問題はそう簡単ではない。その場合は自動化対象から除外することも含めて検討せざるをえないだろう。


04
業務ユーザが自分でロボット作ることも可能?

人事担当者である業務ユーザがスモールスタートでRPAを導入するのは面白い試みだといえる。
実際に人事部門主導でRPAツールを使い、RPAを導入することは可能だろうか。

そのためにはRPAツールを使えば、任せたい作業をパソコン上で実践すると、RPAツールが操作手順をシナリオと呼ぶRPAツールの動作ルールに置き換えて記憶し、次回からその作業をシナリオに基づき代行してくれるので、RPA導入へのハードルはかなり低くなる。
シナリオ作成にあたり、プログラミングの知識は不要で、画面上で作成・修正ができ作業内容もワークフローのように可視化されているため、誰でも理解しやすい。
そのため、業務を把握している非IT部門である人事担当者が自ら自動化活動を行うことも可能になる。

ただし、多くの業務はそれ自体が複雑であり、そのためのシナリオを作成するためには「ある程度のITスキル」が求められることは忘れないでおきたい。



<スモールスタートに最適なRPAツール>

以下に代表的なRPAツールを紹介しておく。

スモールスタートに最適なRPAツール
  • UiPath
    UiPath社が提供するツールで、ドラッグ&ドロップで動作を指定できるなど、直感な操作が可能

  • RPA Express
    Work Fusion社が提供するツールで、正確に目的のコントロールにカーソルを合わせて操作することが可能

  • IBM Robotic
    RPAツールのAutomation AnywhereにIBMの技術を追加したことにより単純作業だけでなくより総合的な業務改善/自動化が可能

  • Robot-Path
    FCEプロセス&テクノロジー社によるRPAツール

https://blog.keihi.com/2655

https://news.mynavi.jp/article/20191121-926120/


04
まとめ

この記事のおさらい
  • RPAとは「Robotic Process Automation /ロボティック・プロセス・オートメーション」の略語で、主に定型作業をパソコンの中にあるソフトウェア型のロボットが代行・自動化するという概念。
  • RPA導入のメリットは、ホワイトカラー業務の効率化、生産性の向上、コストの削減、ミスの防止、人材不足の解消。
  • RPAで効果が出やすい業務は、ルール化しやすい業務、繰り返しの多い業務、パソコンのみで完了する業務。
  • RPAツールを使えば、業務を把握している非IT部門である人事担当者が自ら自動化活動を行うことも可能になる。ただし「ある程度のITスキル」は必要。