コラム

2020.06.19
キャリア 人事コンサル 人事トレンド 働き方
更新日:2020.06.19
著者:H.C.
キャリア 人事コンサル 人事トレンド 働き方
働き方改革の取り組み状況と先進事例
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この記事を読むと分かること
  • 働き方改革実践企業のなかには「働き方」だけでなく、「働きがい」にまでおよぶ改革で成果をあげている事例が現れている。
  • 働き方改革を実行している企業の事例からは、「生産性の向上」や「労働力の確保」といった観点で2つのアプローチが見受けられる。そのアプローチとは、「従業員の働きがいの醸成」と「社外高度人材の活用」である。


働き方改革の取り組み状況と先進事例

中小企業へも順次施行が進む「働き方関連法」。改正法を踏まえた対策が企業には求められているが、具体的な対策が進められていない企業もいまだ一定規模あることが企業調査から見えてきている。

本コラムでは、「働き方改革」に関する取組状況および、対応を推進するアプローチを先進事例とともに紹介したい。


01
「働き方改革」の現状

2019年4月から大企業、2020年4月から中小企業と順次施行されている「働き方関連法」。企業は改正法を踏まえて、どのように改革に取り組んでいるのか。その現状が、独立行政法人 労働政策研究・研修機構による、企業調査・労働者調査(2019年3月 1日~20日)の結果で明らかになった。

公表された調査結果(2020年1月)では、働き方改革を目的とする取り組みについて「行っている」企業は57.1%、働き方改革関連法への対応準備を進めている企業は71.5%となっている。
一方、現在と3年前を比較した労働生産性の変化については、「増加・上昇」したと回答した企業は33.4%、「ほぼ横ばい」という回答が46.7%という結果であった。

特筆すべきは、働き方改革を目的とした取り組みを「行っていない」と回答した企業は、働き方改革関連法への対応準備も進めていない傾向にある点だ。働き方改革を行っていない企業の半数以上が、法対応の準備を進めていない結果となっている。
企業のなかには「働き方」だけでなく、「働きがい」にまでおよぶ改革で成果をあげている事例が現れている。今後、企業間で「働き方の格差」を拡げないためにも、この調査結果を踏まえた対策が求められる。


02
働き方改革に取り組むための2つのアプローチ

企業には、働き方改革を通じて、労働者が個々の事情に合わせて多様な働き方を選択できるような環境づくりが求められている。ユニークな施策を打ち出して、広く知られることになれば「当社は働き方改革に本気」とアピールし、企業の評価を上げることにもつながる。

働き方改革を実行している企業の事例からは、「生産性の向上」や「労働力の確保」といった観点で2つのアプローチが見受けられる。そのアプローチとは、「従業員の働きがいの醸成」と「社外高度人材の活用」である。



1.従業員の働きがいの醸成

従業員に「働きがい」をもって働いてもらうことは、働き方改革・生産性の向上を実現するうえで重要なポイントとなる。多くの企業は「労働時間の短縮」「休暇取得の促進」「テレワークなどワークスタイルの多様化」など「働きやすさ」の改善に関する施策を講じている。しかし、それだけではなく“やりがい”をもたらすことが「働きがい」を高め、業績を向上させていくうえで重要だ。

GPTW(Great Place to Work®)ジャパンが主催する「働きがいのある会社ランキング」によると、「働きがいが高いと認定された会社(ベストカンパニー)」の株価は、そうでない会社の株価、あるいはTOPIXや日経平均といった主要な株価指数と比べてもリターンが高いという結果が見られる。働きがいを高めることで、会社としての底力がつき、景気変動があったとしても市場から支持される強い会社づくりができるのだ。

2.社外高度人材(フリーランスなど)の活用

改正労働基準法によって導入された、高度プロフェッショナル制度。その導入要件は、対象となる労働者の年収、業務や職種など、さまざまな認定が必要であり、企業には高いハードルとなっている。
そこで、企業活動の一部においてフリーランスなどの社外高度人材の活用が、いま注目を集めている。

社外高度人材の活用は、社内リソースだけでは不足している知識、経験、能力のジャストインタイムでの確保を可能にする。また、導入要件が高いハードルになっている高度プロフェッショナル制度に頼ることなく、高度人材を確保できる。


03
働き方改革を実現した先進事例

次に「従業員の働きがいの醸成」と「社外高度人材の活用」に関する実践事例を紹介する。

1.「働きがいづくり」に取り組むS社の事例

S社は近年、GPTWジャパンが毎年発表している「働きがいのある会社」ランキングでトップ5の常連となっている。S社は、その秘訣を「従業員の成功を支える社内文化と4つの行動指針」だと述べている。以下、S社の取り組みを要約して挙げる。

従業員の成功を支える社内文化と4つの行動指針
  • 企業文化「家族」文化の醸成
    社員をはじめとし、お客様、パートナー様、そしてコミュニティなど、社内外すべてのステークホルダーを「家族」と呼べる企業文化を醸成する。

  • 企業文化を醸成・体現するための4つの行動指針
    企業文化醸成・体現に向けて、従業員が行動を起こすことを迷わないための指針として「信頼、カスタマーサクセス、イノベーション、平等」という4つの行動指針を掲げている。特に企業文化を支えるうえで、従業員の成功実現が不可欠と考え、4つの行動指針のうち「カスタマーサクセス」を重要視している。

  • 「働きやすさ」と「やりがい」を兼ね備えた制度の設計・運用
    従業員の成功実現のために、従業員の生活の包括的なサポートも重要視し、従業員の「働きやすさ」と「やりがい」を兼ね備えた制度として、健康維持の取り組みへの補助、働く場所と時間の自由な選択、同一労働同一賃金などを設計し、運用する。

2.「フリーコンサルタントを活用」したG社の事例

G社は、経済産業省の資料をはじめ、すでにさまざまなところで事例として紹介されている。G社で実践したフリーランス高度人材を活用するポイントを要約して以下に挙げる。

フリーランス高度人材を活用するポイント
  • 既存の人材で不足している経験や能力があれば、社内外問わず広く人材を探す
    社外人材を活用する場合は、社内にはない発想が持ち込まれ業務プロセスの改善されるといった効果にも期待し、プロフェッショナルなスキルを持ったうえで自立的に業務が遂行できる人材であるかを重視

  • 社外高度人材へ仕事を依頼する際、ミッションを明確にして共有
    パフォーマンスを最大化し成果につなげるため、ゴールへ向かう道筋は当該人材に任せ、アウトプットベースの評価を行う

  • 協働する社内人材との認識共有も重視
    社内人材との優れたパートナーシップを生み出すためにも、社外高度人材には「ミッションのために働いてもらっている」という認識を社内で共有することを重視


04
まとめ

この記事のおさらい
  • 企業には、働き方改革を通じて労働者が個々の事情に合わせて、多様な働き方を選択できるような環境づくりが求められている。
  • 働き方改革・生産性の向上を実現するうえで、従業員に「働きやすさ」と提供するだけでなく、“やりがい”をもたらすことで「働きがい」を高めていくことが重要である。
  • 社外高度人材の活用は、社内リソースだけでは不足している知識、経験、能力のジャストインタイムでの確保を可能にし、導入要件が高いハードルになっている高度プロフェッショナル制度に頼ることなく高度人材を確保することができる。