コラム

2020.04.16
人事コンサル 人事トレンド
更新日:2020.04.16
著者:H.C.
人事コンサル 人事トレンド
人事BPR・BPO最新動向
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この記事を読むと分かること
  • 少子高齢化、働き方改革を背景に、業務を改革し効率化を目指すBPR/BPOが見直されている。
  • BPRとは単なる「業務改善」にとどまらず、組織活動のプロセスを根本から再構築する「業務改革」のこと。
  • 業務の専門化、スピードアップ、コストダウンを図るBPO、高度化する採用業務をアウトソーシングする採用業務専門のRPO。
  • RPAを導入する企業はいまや5,000社、定型化することのできる人事業務にこそ、その導入メリットがある。


人事BPR・BPO最新動向

戦略人事の実現などが人事に求められている昨今、ノンコア業務の効率化・コストダウンの更なる追及が求められている。
本コラムでは、IT技術の進歩に伴い変化してきた人事BPR/BPOの最新動向を紹介する。


01
いま見直される人事部門におけるBPR/BPO

人材不足を背景にした労働市場の変化や「働き方改革」の推進によって、BPR(Business Process Re-engineering)が再び見直されている。企業では業務の効率化だけでなく、本来の企業の目的、戦略を遂行するために、限られた人材リソースをコア業務に集中し、ノンコア業務においては専門性や効率化の追求やコストダウンを目的に、業務をアウトソーシングするBPO(Business Process Outsourcing)への取り組みが盛んだ。

近年のBPR/BPOはIT技術の進歩に伴いその在り方が変化してきている。RPAツールの導入など、人事部門におけるBPR/BPOについて詳しくみていく。


02
BPRを推進するためのIT時代のBPO

BPRとは業務プロセスを根本から見直す「業務改革」のことであり、戦略的に業務を見直すことを目的とする。
現場での日常業務の改善にとどまらず、戦略的に全体最適の実現を目指す考え方であり、抜本的かつ劇的に業務を「改革」するところにある。

販売・購買・在庫・物流・生産・人事・会計といった各部門の情報を横断的に経営と直結させ、経営状況の見える化、リアルタイム化を実現するERP(Enterprise Resource Planning)システムなどはその一例と言えよう。
このように、各組織にまたがった情報を直結させ、素早い経営判断を可能にするIT戦略は、BPRにおいて、大きな要素となっており、従来の「組織」「人」の視点に加え、「システム」の側面からの業務改革も欠かせない視点となってきている。

特に人事部門で特徴的なのは、企業戦略を遂行するための人事機能の強化や人事施策の推進、次世代幹部の育成といったコア業務への注力が求められる一方で、日常の労務管理や、定期的に発生するノンコア業務に忙殺される傾向にあることだ。
こうした構造的な課題を解決するための策として、ノンコア業務を外部に委託し、人材リソースをコア業務に集中させる戦略的なBPOが重要になってくる。
また、採用部門では人材不足により競争が激化し、採用業務、ノウハウが高度化しており、こうした専門性に特化するための取り組みも不可欠となっている。



<BPO活用が有効な業務の例>

〇労務管理業務

給与計算や社会保険の事務手続き、保険料の計算といった、データの繰り返し入力などの定型化できるPC業務を外部へアウトソーシングすることで業務効率化を図る。
また、これらの業務は、月末や年度末に業務量が集中するなど、時期的な要因の繁忙差が激しいことが多い。
そうした定型かつ量にムラのある業務をBPO化し、本来のコア業務に安定的かつ集中して取り組むことを可能にする。

〇採用業務

求人倍率が高水準を維持し、求人に対する人材不足からくる競争の激化や、「通年採用」への移行による新卒採用の早期化、長期化により、採用業務はより複雑化、専門化していくことが考えられる。
そこで、採用専門のBPO=RPO(Recruitment Process Outsourcing)への期待感が高まっている。
また、経団連と大学が「通年採用」に合意し、就活はさらに早期化・長期化することが予想され、その業務はより煩雑になることも想像に難くない。ノンコア業務をRPOに委ね、採用戦略の立案、優秀な人材の見極めといった本来の採用業務であるコア業務にシフトすることで、より効果的な採用活動に取り組む企業が増えてきている。



▼参考
経団連と大学が「通年採用」に合意。就活はさらに早期化・長期化へ。



一方で、BPOに取り組んだ結果、社内にノウハウが蓄積できないことや、セキュリティコストが向上してしまうなどのデメリットも見受けられる。BPOの導入にあたっては、専門性の追求やスピードアップ、コストダウンが実現できていなければその意味はなく、目的に沿っているかを精査する必要がある。


03
定型業務を劇的に自動化するRPAの導入

RPA(Robotic Process Automation)とはこれまで人が手作業で行ってきた入力業務などを、ソフトウェア型ロボットに代行させるもので、省力化やスピードアップはもちろん、入力ミスのリスクを限りなくゼロにすることが可能だ。
特に人事・総務など管理部門の業務は、人事管理、給与管理、勤怠管理システムなど異なるシステムへの繰り返し入力など、共通化できる業務が多く、RPAとの親和性が高いと言われており、その導入はBPRを推進する上で欠かせない要素となっている。

矢野経済研究所の予測では、2022年のRPA市場規模は2017年比4.5倍に拡大するとされており、右肩上がりに増加していくであろう。

▼参考
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)市場に関する調査を実施(2018年)



ここでは、RPAの導入事例をもとに、RPAがどんな業務に適用できるのかをみていく。



<採用管理業務の事例>

〇複数媒体へのデータ入力業務の自動化

株式会社ビズリーチでは、採用業務にRPAを導入。それまで、媒体ごとに異なるフォーマットから共通フォーマットに再形成する事務作業を、毎日30分~1時間かけて行っていたが、導入後は10分程度に短縮。さらに、入力作業ミスの削減にも繋がり「自動化したことで、取り組める業務が増えた」と評価されている。

▼参考
「UiPathを使えることがキャリアと働き方の幅を広げる」エンジニア経験ゼロから始めたRPAへの挑戦



<給与計算業務の事例>

〇給与計算業務を年間1万1888時間から1434時間に削減

サッポロホールディングス株式会社は、2018年9月に「BPR推進室」を新設し、2021年を目処にグループ各社が独自で持っている機能の集約、業務の廃止、簡素化、標準化、自動化を目指している。
グループ内業務の集約で最も効率化が見込めそうな給与計算の作業時間を調査した結果、給与計算業務全体で年間1万1,888時間を費やしていることがわかった。

そこで、勤怠入力時におけるエラーの標準化を手始めに、順次RPAを導入した結果、給与計算業務にかかる時間は年間1,434時間まで大幅に削減することに成功。
今後もBPR推進室は、「業務の絶対量削減」と「社員の業務フロー改善」を同時に進め、最終的にはグループ全体への利益貢献を目標としている。

▼参考
給与計算業務「88%削減」に成功!サッポロHD人事部の劇的ビフォーアフター



<人事情報管理の事例>

〇グループ各社のデータ入力を統一化。夜間の自動作業も実現

アサヒグループホールディングス株式会社では、従業員の採用、人事異動、退職、休職時にグループ各社から提供される人事データが年間約36,000件に上る。それらのデータは「グループ人事管理システム」と「グループ勤怠管理システム」に、手入力かつ2重登録する運用となっており、そのための業務に年間約1,300時間を費やしていた。

そこで同社は、RPA導入により、グループ各社ごとの管理項目に合わせた異なる書式の人事データの読み取りと統一フォームへのリンクを自動化。さらに「グループ人事管理システム」と「グループ勤怠管理システム」を自動連携するアプリケーションも導入した。

さらに5分毎に起動する仕様のRPAツールは、データが各社から届くごとに対応が可能で、夜間であっても自動登録処理が行われ、翌朝には人事データの登録が完了しているため、リードタイムは短縮され、入力ミスも防ぐことが可能になった。
RPA導入によって、煩雑な作業の時間が短縮され、本来取り組むべき業務内容の質を高めることが期待されている。

▼参考
社内の人事労務管理業務にAI・RPAを導入し、業務品質を向上、業務効率化・働き方改革を推進!



RPA導入のメリットをみてきたが、導入にあたってはRPA化可能な業務選定、そのためのBPR・業務見直しを行う必要があり、これらの業務改革を推進する人材が重要となる。そうした人材が社内に見つからない場合は、人事業務コンサル・RPAコンサルに委ねることも一つの方策であろう。


04
まとめ

この記事のおさらい
  • 近年のBPR/BPOは、IT技術の進歩に伴い位置づけが変化してきている。
  • 日常の業務改善にとどまらない業務改革がBPRであり、抜本的かつ劇的に業務を再構築することが重要である。
  • 経営戦略の中でIT戦略が重要なポジションを占める現在において、「組織」「人」に「システム」を加えた3点の視点を持つことが大切である。
  • 専門化、高度化、細分化される分野においてBPOは有効で、単なる外注先ではなく専門ノウハウの享受、セキュリティ面、コスト面などのメリットとデメリットを考慮してベンダーを選別することが重要である。
  • RPAの導入にあたっては、業務改革を推進する人材が重要で、場合によっては外部に専門家を求めることも必要である。