コラム

2019.11.01
人事コンサル 人事トレンド 自己研鑽
更新日:2019.11.01
著者:H.C.
人事コンサル 人事トレンド 自己研鑽
人事システムの最新動向と求められている人事の役割
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この記事を読むと分かること
  • AI・ビックデータなどの最先端IT技術を活用したHRテックが普及してきた背景
  • タレントマネジメント、労務管理等でHRテックを活用する目的、具体的な活用事例
  • 今後人事施策を遂行していくうえで、人事知見だけでなく、データ分析・活用のスキルセットも不可欠になってくる

人事システムの最新動向と求められている人事の役割

一般社団法人日本デジタルトランスフォーメーション推進協会が発表しているHRテック関連サービスのカオスマップによると、2019年4月時点で人事領域の9分野において390のHRテックサービスが存在しています。2018年はHRテック元年とも表現されましたが、カオスマップも更新のたびに多彩なサービスが続々と追加されているようです。
(参考・引用:一般社団法人日本デジタルトランスフォーメーション推進協会HR Tech業界カオスマップ)

テクノロジーを駆使した最新人事システムが次々と出てくる時代、人事担当者はどのようなシステムを選んでいけばよいでしょうか? 本記事では、人事システムの最新動向と求められている人事の役割について解説します。

01
人事システムとは

人事システム(人事管理システム/ヒューマンリソースシステム)とは、企業で働く従業員に関する「人事発令」「勤怠」「給与計算」「人材評価」「採用」などのさまざまな人事情報を統合管理し、企業経営の推進に活用していくシステムのことです。

日本でも、これまでは大企業を中心に人事管理システムの構築・導入が進んでいましたが、2016年にマイナンバー制度が始まってからは中小企業でも導入が進みつつあります。

02
日本での人事システムとHRテック普及の背景

近年は、日本でも従業員の勤怠や給与を管理する「人事労務管理システム」だけではなく「人材戦略マネジメントシステム」も注目を集めており、昨今の企業の課題である離職防止、エンゲージメント向上などに対応したシステムも登場しています。

HRテックと呼ばれるこれらのシステムの登場には、ビッグデータ解析やAIの進化など急速なテクノロジーの進化が大きく関係しています。

もっともHRテックとは、Human Resource(人的資源)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語であり用語自体はかなり以前から存在しています。広義では給与システム、勤怠管理システムなどの人事システムもHRテックに含まれます。ただ、近年は最新システムといった印象が強く、HRテックは人事系のクラウドシステムあるいはAI、ビッグデータなどの最先端IT技術を活用したシステムと認識されていると言ったほうが近いかもしれません。

日本は、米国と比較するとビッグデータ解析やAIなど最新テクノロジーを利用したHRテックの導入は遅れていましたが、近年は少子化や第4次産業革命とも言われるビジネス環境の激変を背景に、ますます人材戦略が重要になってきたこともあり、タレントマネジメント領域や採用領域で急速に普及しつつあります。

03
最新の人事システムの動向

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最新の人事システム(HRテック)は、これまでの人事部門のさまざまな課題を解決する可能性を秘めています。以下にいくつかの例を記載します。

3-1.タレントマネジメント

例えば、もっとも注目を浴びている人事システムの一つであるタレントマネジメントシステムを活用すれば、将来活躍できそうな優秀な人材をパターン予測することで、採用や人材育成に活かすことができます。企業内のさまざまな個人情報を紐づけて一元管理することで本人すら気づかない可能性を早期に発見し、適切な教育や成長支援を行うことも可能になるでしょう。

また、昨今は社員のうつ病などメンタル不調者の増加や離職なども課題ですが、AIを駆使した勤怠情報の統計的解析によって退職者やメンタル不調者の予備軍を抽出することができるようになっており、早期の段階で対策をとることが可能です。

活用例イメージ
  • 将来の経営幹部になる人材に早期から着目し必要な教育、人事異動などを行う
  • 個々の社員のポテンシャル、能力に応じた人材配置
  • 社員同士の相性をデータで把握した上での組織編制(モチベーション、生産性向上)
  • 計画的な人材育成(キャリアデザインの個別管理)と適正な評価
  • 優秀人材のリテンション(ES調査、モチベーションモニタリング)
  • その他
3-2.労務管理

労務管理部門においては、RPA(Robotics Process Automation)の活用によって自動化・効率化が可能です。また、入社手続きや雇用契約、年末調整などの労務手続きを効率化する人事労務クラウドシステムも増えています。近年は初期費用を抑えた クラウドサービス(SaaS、ASP) 形式のシステムが多く、かつシステム提供会社が連携可能な場合も多いため初期コストをあまりかけず小さく始めることができます。費用対効果がわかりやすい領域であるため、現状、HRテック領域においては労務管理部門のサービス導入がもっとも進んでいると言っても過言ではないでしょう。

04
人事担当者に求められるスキルの変化

テクノロジーによって人事領域でできることが増えれば増えるほど「人にしかできない」ことの部分での能力差が大きくなります。そして「強い人事」のいる組織と、そうではない組織の差が開く時代になります。

これからの人事に求められているのは、人や組織の専門家として経営陣のパートナー的存在になることです。組織の「経営戦略・事業戦略」を実現するための「人材戦略」やより具体的な採用・育成計画などの企画立案を行い、職場改善をしていく意義を現場の管理職や社員にわかりやすく伝え、巻き込んでいくコミュニケーション力が必要になります。

人事担当者がHRテックを攻めの姿勢で活用するためには、導入についての全体設計ができることがまず必要です。つまり、現状の課題の把握とそれを解決するためのゴール設定です。その上で組織に求められているHRテックを選択し、導入・運用していくプロフェッショナルさが必須です。

これには人事の知見だけでなく、HRテックの技術が分かる人材育成や採用あるいは自社のエンジニアとの連携も必要になってくるでしょう。また、人事システムの運用を成功させるためには「データを貯める」という地味ながら欠かせない作業から入る必要もあります。性急にデータを活用するのではなく中長期的な計画を立案し進めていきましょう。

05
まとめ

テクノロジーの進歩により人事領域においてこれまで解決できなかったような多くの課題が解決できる可能性が出てきました。近年は、AIやIoTの登場により第4次産業革命、あるいはVUCAの時代と呼ばれるVolatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)が高い時代を迎えています。

業界間の垣根は崩れやすくなり異業種間競争もますます激しくなるでしょう。変化の幅が大きくスピードも速い現在は、経営戦略も時代に合わせて素早く変化させていかなければ生き残りが難しくなります。

変化に対応できる組織であるためには、常に時代に適応し成長していくことができる優秀な社員が必要です。HRテックを活用し、経営戦略、事業戦略を見据えながら個々の従業員のポテンシャルや能力を最大化していく人事部門の重要性はますます増していくでしょう。

※VUCAとは
Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)